猛暑の夏がようやく終わり、さまざまな秋の味覚が店頭をにぎわす季節になりました。
でも油断は禁物!夏バテを引きずったまま食欲が戻らない方や、早くも冬仕度とばかりに、厚着をしすぎて脱水になる方が続出しています。
今回は、季節の変わり目に気を付けたいポイントと、介護予防につながる話題のキーワード「サルコペニア」についても紹介します。
秋~冬も油断できない!「かくれ脱水」に注意
過ごしやすい季節の到来です。
しかし高齢者にとって、秋~冬は、「寒さ」におびえる季節の到来でもあります。
涼しくなった途端に、「寒いから」「冷え性だから」と何枚も下着を重ね着し、さらにTシャツ、セーター、上着と目いっぱいきこんだ状態で過ごしておられる方が、皆さんのご利用者の中にもいるのではないでしょうか。
高齢者の場合、夏だけではなく、秋~冬にかけても、脱水症状に陥ることがしばしばあり、脱水による救急搬送の件数では、夏に続いて「第2のピーク」がこの時期だと言われています。
汗をかきにくい水分補給が必要な状態になっていても身体がそれを感知しない……。
それだけ身体機能が低下しているのが高齢者です。要介護高齢者となれば、なおさらのこと涼しくなったからといって水分補給を怠ってはいけません!
「夏でもなく、野外でもない」環境で起こる脱水を「かくれ脱水」といいます。
なかでも、高齢者で、糖尿病や高血圧などの持病があったり、栄養不良・肥満気味の方は、かくれ脱水になるリスクが高くなります。
ここでは、部屋にこもりがちの高齢者が、かくれ脱水であるかどうかが判断できる簡単チェック方を紹介します。
「かくれ脱水」発見チェックリスト
① 脈拍数が120回/分以上である。
② 体温が37度以上である。
③ 爪を押したあと、色が白色からピンク色に戻るまで3秒以上かかる。
④ 部分的あるいは全身的なけいれんがある。
⑤ 皮膚に張りがない。
⑥ 意識レベルが低下している。
⑦ 体重減少が3%以上。
上記の症状に1つでも当てはまれば、脱水症が疑われます。
経口補水液などで速やかに水分補給を行いましょう。
水分補給がおっくうにならない環境づくりを
のどの渇きを訴えない高齢者に、こまめな水分補給を「おっくう」だと感じない環境づくりが大切です。
食事から取れる水分以外にも、1日1.5L以上の水分を補給する必要があります。
しかし、のどの渇きを訴えず、トイレの回数が増えるのを嫌がる高齢者は多いもの。
そこで、一工夫して、夏は温・冷2種類の水分を1日の初めに用意しましょう。
1つは500ml程度入る保温できるマグカップ(ステンレス製のマグ)に、お茶など好みの飲み物を用意しておきます。
ご自分でお茶を淹れられる方なら、お湯だけ用意しておきます。
もう1本は、ペットボトルに水を用意し、こちらは服薬用に用意します。
電界質飲料(スポーツドリンクなど)を薄めたものなら、なおよいでしょう。
ペットボトルには、伊藤園の500ml入りのペットボトルの様に、10mlずつ目盛が刻んであり、飲んだ容量が一目でわかるようになっているものがあります。
これなら、飲んだ量が一目で把握できるので、水分量にも役立ちます。
あらかじめ飲み物がそばに用意してあれば面倒がらずに飲んでくれる事が期待でき、後でヘルパーやご家族が飲んだ量を把握できます。
あとは、継続して頂くため「トイレに行きたくなるのは健康な証拠!」
「今日はこんなに飲んで頂いて、これで脱水も防げ、血液サラサラですね」
など、励ましの言葉をご家族からも常にかけて頂く事が大切です。
次回:高齢者秋の生活 ② <低栄養の定義と対策>