サルコペニアの診断に用いる基準
診断は基準1・その他(基準2か3)に基づく
1.筋肉量低下
2.筋力の低下
3.身体能力の低下
「サルコペニア」という言葉は、ギリシャ語で体・肉を意味する「sarx」と「失う」を意味しています。
「penia」を語源とし、加齢に伴い筋量・筋力が失われることを意味しています。
この言葉自体、1980年代末に提案された新しい概念ですが、老年医学では今や無視できない重要な分野となっています。
普通に歩いた時の速度が1秒あたり1m未満、または握力が男性25kg未満、女性20kg未満である場合には、脆弱高齢者と判断し、さらに脆弱高齢者のうちBMI18.5未満もしくは下腿囲(ふくらはぎの最も太い部分)30cm未満である場合をサルコペニアと診断します。
サルコペニアを予防するには
では、サルコペニアを予防するには、どんなことに注意すればいいのでしょうか!
“筋肉が減少するのを防ぐ”と聞くと、真っ先に「リハビリ」や「介護予防運動」などが思い浮かびますが、サルコペニアは、
栄養状態や疾患の有無など、様々な要因が重なって発症することがほとんどの為、栄養状態が悪化している時に筋トレをおこなうとかえって筋力が低下することもあります。
要介護状態の高齢者の場合は、主治医や管理栄養士に相談するなどして、慎重を期して開始するのが望ましいでしょう。
また、筋肉量や筋力を効果的に増加させる為には、筋肉に大きな重荷をかける運動が必要とされていますが、高齢者にとって高負荷運動を続けることは、運動器や循環器に過度のストレスを与える危険を伴うことがあります。
高負荷運動は長く続けられませんが、低強度負荷の運動なら、一回の持続時間を短く、回数を多くすれば効果が得られます。
そのため、1人ひとりの栄養状態やサルコペニアの診断結果にのっとって、自分ひとりでおこなえる運動内容を、専門家の指導の下に開始するのが理想です。
また、こうした運動は継続することが大切なので、できれば自宅や屋内など安全な場所を利用して、楽しく続けられるような内容だといいですね。
みなさんがご存じのリハビリデイサービスでは、どのようなサルコペニア対策を行っているか、一度聞いてみてはいかがでしょうか。
サルコペニアを予防するためのもう一つの要素は「栄養」です。
実はサルコペニアは、高齢者の栄養管理でも取り上げた「低栄養」と密接な関係にあります。
食事でサルコペニアを予防するには、十分なエネルギーと脂質、たんぱく質などのバランスを重視して摂取することが重要です。食事量を増やせない人は、エネルギーになりやすい栄養補助食品を取り入れて、必要なエネルギーと栄養素を維持することも考慮しましょう。