くも膜下出血で倒れられた70代の女性のご相談
回復期病院にてリハビリ中ですが、治療は終了しておられご自宅復帰は難しいとのことで、老人ホームをご検討されています。
お身体は比較的回復をされて、少しの支えがあれば歩行も可能なぐらいですが、高次機能障害が残られました。
高次機能障害とは・・・
脳疾患や交通事故などがきっかけで脳の損傷によっておこる神経障害の一つです。
記憶障害、注意障害、遂行機能障害や社会的行動障害など脳の損傷個所によって症状が様々です。
■記憶障害
・何度も同じ事を聞く
・物事が覚えられないなど・・・
■注意障害
・簡単なミスが多い
・物事に時間がかかるなど・・・
■遂行機能障害
・物事がまとまらず混乱する
・同時に1つ以上のことができないなど・・・
■社会的行動障害
・衝動的な行動が多い
・我慢できないなど・・・
【老人ホームでの危険性と対応案】
今回のご相談者様は注意障害、遂行機能障害、記憶障害が主にあります。
ご入居前に病院にてご本人様、ご家族様、老人ホーム様の関係者が集まって、どのような危険があるかどのように未然に防ごうかを話し合いました。
身体機能は回復していますが、判断力が心配な部分が多く、結果として危険行動に繋がってしまう可能性が高い所が最も心配される点です。
老人ホームの部屋でお一人で過ごす上での予想される危険性としては、ベッドや車いすからお一人で立ち上がろうとされて起こりうる転倒リスクです。
マンツーマンで介護職員が付くわけにはいかないというのが現状です。
何か起こった時のためのナースコールはあっても、出来る限り転倒を未然に防ぎたいというのがご家族様の願いです。
ごもっともです。
話し合いを進めながら見えてきたのは、日中の過ごし方の工夫です。
ご本人様は専業主婦としてずっとご主人様を支えてこられていました。その影響か「洗濯物をたたむ」という行為が大変お好きなようで集中されるとのことです。
お部屋で1人で過ごすとリスクが高まるので、日中は食堂で介護職員の洗濯たたみをお手伝いしてもらのが良いのでは?とか、
お片付けや整理整頓、細かい手作業が得意とのことなので、それらを活かしてもらう為の役割をお願いしよう等の案が出てきました。
また、お一人で過ごす場合のことも考えて、センサーもつけてもらう方向で話し合いを行いました。
ご家族さんも退院後の安心な生活がイメージできたようで、ご表情がみるみる明るくなってこられました。
関係者が一丸となって話し合い、ご入居者様を安全に快適にお過ごし頂ける環境作りのお手伝いが出来て嬉しいです。