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暴力行為がある入居者を変えたモノ 後編

暴力行為がある入居者を変えたモノ 後編

介護・福祉


2018年12月17日

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暴力行為がある入居者を変えたモノ 前編

職員の仕事の大変さが「その日のCさんのご機嫌次第」となってから数カ月が過ぎました。
何しろワンフロア50人の団体生活ですから、大声で暴れる方がいればその方への対応の大変さは勿論のこと他の入居者さんから不平不満も上がるのでその対応にも追われます。

 

ある日訪れた変化

そんな日々の中、少し暖かくなってきた春先のことでした。
その時のCさんはどうにもこうにも機嫌が悪く、いつもなら皆を盛り上げてくれるカラオケの最中に大声で暴言を吐き始めました。大声に顔をしかめる入居者さんたちの顔に、なんとかしないと…と職員同士で話していたところに、ちょうど介護主任が通りかかったのです。

「あったかくなってきたから、Cさん私と散歩に行きましょうか」
偶然手が空いていた主任がそう言ってくれて、外に連れ出してくれました。
なんだそんなことか。これを読んで下さっている方の中には、そんな風に思われる方もいるかもしれませんね。

 

たった一人。そのたった一人の余分な人員すら、いないのが当時の介護の現場でした。おそらく入居施設は現在もっと厳しい状況にあるのではないかと思います。
暴言暴力のある認知症の方を任せられる……となれば、危険性も考えると対応できるのは職員しかいません。目の前には49名の他の入居者さんがいる中、たった一人の入居者に対して一人の職員をつけるということは本当に難しいことなのです。

 

だから、それは本当に運の良い偶然だったのだと思います。
いつも相談業務や苦情対応や事務処理、そして家族対応に追われている介護主任がCさんを連れて運よく暖かくなってきた時期に外に連れ出してくれた時、ちょうどホームで飼っている犬のコロが散歩に行くところに出くわし、Cさんは「うち、犬好きやねん」「子供のころに飼ってたんや」と言って、ころりと機嫌を直したそうです。一緒に散歩をしたとのことで、Cさんはすっかりご機嫌になってホームに戻ってきました。

 

衛生面などの配慮もあって、外で飼っているコロを室内にいれることはできません。
ですが、Cさんの気分を切り替えることができる対応を、私たちは一つ得ることができたのでした。それは、「その方の人となりを知る」ことでその方の暮らしをより良くするお手伝いをさせて頂くための大切な気付きです。介護における大切な要素の一つだと言えると思います。

この出来事以降、私たちは隙間の時間を使ってCさんをコロのところに連れて行くようになりました。コロの世話を主にしてくださっている掃除や洗濯担当の方のご厚意で、おやつをあげさせてもらえるようにもなり、Cさんはコロに会うのを生活の中の楽しみにされるようになりました。

 


そうして少しずつ。
本当に少しずつですが暴言や暴力も減っていき、私達もCさんのコロへの関わり方を通して世話好きな優しい面を大事にできるようになっていったのです。

最初にCさんがホームにきて一年ほどかかったでしょうか。
「時々手がかかるけど、世話好きで歌が上手な優しい方なんですよ」と言えるようになるまでに。
最初の頃を思えば、嘘のようにCさんはホームに馴染めるようになりました。

 

ホームだからこそできるケアの方法

これは、家族ではなかなか難しいことではないかと思います。
私自身も仕事だからこそ、どんなに周辺症状が激しい方であっても、ケアするとっかかりを見つけようとがんばることができるのであって、これが自分の親戚であれば、そうはいかなかっただろうと思うのです。

そして在宅であったなら、ご近所の目もありますし、実際に物を壊されてしまったりしてしまうと家で生活を続けることは難しかったのではないかなと想像します。
Cさんはホームならではの、時間と馴染みが問題を完全に解決しないまでも軽くしたという、良い例ではないかなと思います。


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しいな みのり
介護福祉士・ケアマネージャー。特別養護老人ホームや病院の介護病棟・医療病棟、小規模多機能型居宅介護事業所での勤務経験を持つ。現在も子育てをしながら介護の現場で奮闘中。
ウチシルベ