見る、聞く、行く。
入居までお住まい相談員といっしょ。

0120-253-347

大柄・全介助の男性の老人ホーム生活 後半

大柄・全介助の男性の老人ホーム生活 後半

介護・福祉


2018年09月03日

前回の記事はこちら

https://www.osumai-soudan.jp/article/229.html

一度は受け入れを諦めていたものの…

病院にこれ以上できることがないと言われた以上、もう病院暮らしはさせたくなかったと言った奥様は、とても協力的なご家族でした。

正直に朝と夕は人手がないことをお話し、朝食と夕食はベッドごと食堂へ出すことが決まりました。キャスター付きのベッドを使えば、二人介助で比較的短時間で移動できるためです。

ただ、その為には出入り口の広い四人部屋に入居して頂かなければならず、希望されていた個室での対応が難しくなりました。そのこともお伝えしましたが、奥様は「4人部屋で構いません。私ができないことを皆さんにして頂くんですから、そのために必要なことは仕方がないと思います」と即決で仰いました。

この時にみんな「このご家族とならがんばれるかも」と思ったのです。

 

こうして入居してきたSさんは、事前情報通り大きな体格の方でした。

麻痺のために喋っている言葉を聞き取りにくく、きちんと聞き取れないと不機嫌そうに呻き声をあげられます。奥様は「病院でも看護師さんにも私達家族にもこうだったんです、すみません」としきりに謝っておられました。そういう方は男性には多いので気にして頂く必要はありませんよと、介護主任から説明をさせて頂きました。

71歳とまだお若いので、レクレーションで歌われる歌などが古すぎて戸惑っておられる様子でしたね。当時はまだ明治生まれ大正生まれがごろごろいたので、レクレーションの一番人気は軍歌でした(笑)。

そんな老人ホーム内ではぴちぴちの若者であるSさんのために、ちょっと新しい歌をレクレーションでも取り入れるようになりました。奥様に尋ねて、昔お好きだった曲を枕元で流したりもするようになりました。

作業療法と言語療法も始まり、Sさんの入居生活はまずまず順調にスタートしました。

 

私の中ではスムーズに入居生活に馴染まれたなという印象でしたが、ちょっと大変だったのは、食事関連でしょうか。

なにせ71歳とお若いので、食欲旺盛で…。でもこれ以上体重が増加しては介助も大変になってしまうし、脳梗塞の既往歴があるのでそちらの点でも体重増加は望ましくないということでした。

「お腹が空いて眠れない」という訴えが多く、年齢を考えたらそりゃそうだろうと思ってしまい、職員もどうしても気の毒に思ってしまいがちでした。ご家族にカロリーオフの砂糖を用意してもらって、コーヒーを少しずつ飲んで我慢して貰ったりしていました。

嚥下困難があったのでミキサーでスタートした食事でしたが、作業療法士と言語療法士の「まだ若いのだからレベルを上げるべきでは」というアドバイスから、昼食のみ極刻みにとろみ餡かけの食事がスタート。少しずつ少しずつ、Sさんが咀嚼を思い出し、食事形態が上がっていくのを、ご家族と一緒に喜び合いました。

結婚記念日のプレゼント

印象的だったのは、入居されて一年半ほどたったころのこと。

Sさんの担当スタッフが、Sさんと相談して「結婚記念日に奥様に自作のカードを渡す」という企画を考えたのです。どうしても奥様に冷たく当たりがちなSさんですが、担当スタッフがよくよく話をすると「いつもよくしてくれているとは思っている」という内容の言葉を引き出せたということで、奥様に感謝を伝えましょうと説得したという話でした。

さあ、どうやったら麻痺のあるSさんに作業して貰えるか。

スタッフの腕の見せ所です!

ああでもないこうでもないと策を練り、私たちはSさんの指に絵の具をつけて「●●へ ありがとう」という文字を書いてもらうことに成功しました。お花紙で一緒に小さな花束も作りました。

結婚記念日に面会に来られた奥様に、この日のために言語療法士と練習してきた「あ、り、が、と、う」をしっかりと発音しながらカードを渡すSさんの姿は、とってもとっても恰好よかったです!

涙を浮かべて私達スタッフにまで何度も「ありがとうございます」と言う奥様から頂いた温かい気持ちは、今も私の、きっとあの頃一緒に働いていた仲間達の宝物です。


お住まい相談員がピッタリの介護施設・老人ホームをご提案

0120-253-347

しいな みのり
介護福祉士・ケアマネージャー。特別養護老人ホームや病院の介護病棟・医療病棟、小規模多機能型居宅介護事業所での勤務経験を持つ。現在も子育てをしながら介護の現場で奮闘中。
ウチシルベ