認知症の「周辺症状」「対応に困る行動・言動」の中でも、代表的なものが「徘徊」と呼ばれる行動です。
もちろん本人は「徘徊しよう」と思っているわけではなく、何らかの目的があって歩き始めて迷ってしまったり、
何かじっとしていられないような理由があって歩き回ったりしています。
しかし、事故や過労・脱水による衰弱など、自他に対する危害の心配もありますので、
介護する人は目が離せず、身体的にも精神的にも負担の大きいものです。
認知症行方不明者1万人
ほとんどの場合、事件でも事故でもないため情報が公開されず、埋もれ続けてきた認知症の行方不明者。
平成26年5月11日放送のNHKスペシャルでは、全国各地の警察や自治体、家族などへの取材を基に、
認知症の行方不明者の実態と全体像を明らかにしました。
明らかになった行方不明の実態
平成26年2月に調査をしたところ、平成24年(1年間)に認知症やその疑いがある人が、
徘徊などで行方不明になったケースについて、全国の警察本部を対象にアンケート調査を
行いました。その結果、行方不明になったとして警察に届けられた人は、全国で延べ9607人に上がる事がわかりました。
このうち死亡が確認された人は、351人。その年の末時点でも行方不明のままのひとも208人いた事がわかりました。
都道府県別で行方不明のままの数は・・・
・愛媛=19人 ・愛知=17人 ・兵庫=16人 ・東京=15人 ・大阪=14人
都道府県別で死者数が最も多かったのは・・・
・大阪=26人 ・愛知=19人 ・鹿児島=17人 ・東京=16人 ・茨城=15人
認知症800万人時代
国内の認知症の高齢者は平成24年の時点で462万人、高齢者の15%に達すると言われています。また、
認知症の予備軍とされる「軽度認知障害」の高齢者は、400万人に上がると推計され、
国内の認知症とその予備軍の高齢者は合わせて860万人余り、高齢者の4人に1人に上がっている様です。
高齢化が進むにつれて今後も、認知症の高齢者は増え続けると予測されていて、
この認知症の行方不明者の問題はさらに深刻な問題になると思います。