「口腔ケア」とはただ口の中をきれいにするという意味だけではありません。
「口腔のあらゆる動き(食べる、飲み込む、発音を操作する、審美、顔貌の回復、唾液分泌機能、口腔感覚、味覚)を健全に維持する、あるいは介護する」という意味で含まれます。
特に要介護高齢者にとってはそれ以上に重要な役割を果たすこと、知っていましたか?
では実際、要介護高齢者にとっての口腔ケアとは?
食べる楽しみをサポート
食事は要介護高齢者にとって日常生活における関心事の第1位です。
口の中の清潔に保ち口腔の働きを維持・回復させることは、食事を楽しむためにまず何よりも重要なことです。
誤嚥性肺炎の予防
飲み込む機能が低下している高齢者は、唾液や食べ物を上手に飲み込むことができず、胃ではなく肺へと落ちてしまうことがあります。
口腔内が不衛生な状態である場合、細菌も一緒に肺へ送り込まれ、肺炎を引き起こすこともあります。これを「誤嚥性肺炎」と言います。
リハビリ機能
口の中に小さな糸くずが入っただけでもとても気持ちが悪いもの。
口の中はそれだけ敏感な場所です。
そこに歯ブラシを当て刺激を与えることは、意識レベルの回復や口腔機能の回復を図るためのリハビリ機能も果たします。
軟菜や刻み食、ペースト食など噛む必要のないものを食される方については「入れ歯は必要ない」と思われる方は非常に多いです。
しかし、入れ歯は「噛む」という以前に、本来あるべき口の形を整えて「飲み込み(嚥下)」という動作をサポートする重要な働きを持っています。
それによって嚥下に必要な筋力なども鍛えられるわけですから、入れ歯は単に噛むものだけではなく、「リハビリの装具」であると言えます。
口腔ケアによって口の中が清潔に保たれていれば、誤嚥性肺炎の発症率は著しく低下します。
これは国内にとどまらず、世界中の研究者が医学的データにより支持する根拠ある事実です。