65歳以上の人口は2025年には3657万人になると推測されています。さらに同年700万人を突破。65歳以上の5人に1人が認知症という見通しです。認知症は高齢になればなるほど発症率が高くなるため、このような推測がなされています。
今では「認知症」という病気の理解は以前より広がっています。(以前は「痴呆症」と呼ばれていました。)ただ、その対応は十人十色。基本的な障害はありますが、周辺症状といわれる症状はかなり個人差があります。その対応こそが難しく、自宅では限界を感じられるご家族様も多くいらっしゃいます。
基本的な障害は記憶の障害、判断力の障害、見当識(時間、日付、場所)障害、実行機能障害です。
種類は代表的には4つで、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症です。
ここからが周辺症状と呼ばれているもので、個人差があるものになります。
徘徊、弄便、物とられ妄想、せん妄、幻覚・錯覚、うつ・抑うつ、暴言・暴力・介護拒否、失禁、不眠障害・昼夜逆転、帰宅願望、異食 等です。
これらはそのご本人の性格・素質や環境、人間関係により違いがあります。
ですので、同じ物とられ妄想でも対応方法は千差万別ということになります。原因が不安からくるものだったり、記憶障害や思考力の低下からくるものだったりと人それぞれだからです。どちらの場合もそうですが、間違いを指摘(盗られたのではなく無くした)すると興奮が更に強まります。別の話題に変えるといい場合が多いです。
また、認知症の種類によっても差が出ます。例えば失禁。アルツハイマー型初期の方ですと、場所が分からないだけなので、トイレの場所を分かりやすくすれば解消されることが多いです。脳血管性認知症の方だと、感覚がマヒしてしまっている事が多いので、定期的にトイレのお声かけをおこないます。
このように、老人ホーム等の職員は介護専門職として勉強をしているので、対応も臨機応変に行えることが多いと思います。ですが、これがご家族となると、その矛先をすべて受けてしまうので、精神的に疲れてしまうことがあります。365日24時間ですから。デイやショートステイを使って、少しの時間お疲れをとることが大切になります。それでも発症とともに悪化してしまうのが認知症です。どうしようもなくなった時には、やはり老人ホームへの入居を検討して頂くことがあります。共倒れになっては元も子もありません。適度な距離感を保ち、お互いに安心して暮らして頂きたいと思います。
要介護状態になっても自宅で過ごしたい方は6割以上、老人ホーム入居希望は2割にも満たないということです。それでも、やっぱり老人ホームへというご家族は少なくありません。そこには色々な事情もあると思います。老人ホームに入れたからそれで責任放棄という訳ではありません。社会にあるものを有効に使い、ご自身の生活を守ることはとても大切な事です。