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戦争で家族を亡くしたKさんの思い出

介護・福祉


記事公開日:2018/01/15、 最終更新日:2018/12/28

老人ホームでの夫婦間トラブル 後編

 

シルバーカーを押しながら歩くKさん

 

Kさんは、私が勤め始めて二年ほどした頃にやってきた女性の方でした。

 

軽い糖尿病があって、アルツハイマー型認知症で、シルバーカーで歩行する、小さな可愛いおばあちゃんでした。

 

 

戦争でご主人をなくしたというKさんは、再婚されなかったそうです。

 

子供さんもいなかったので、キーパーソンは妹さんでした。

 

 

時々トイレの失敗があるくらいで、ほとんど自立しておられました。

 

食欲を押さえるのが苦手だというのは、事前情報にもあってどんな感じだろうかと思っていたら。

 

夜中2時~3時くらいになると、コールが鳴るのです。

 

「お腹が空いちゃった……」

 

糖尿病ですから、ほいほいお菓子を出すわけにいきません。

「Kさん、今はお昼じゃなく夜中なので、朝になってから朝ごはんを食べましょう」

こう言って説得するように決まっていました。

 

それでも日によっては、5分~15分ごとにコールが鳴り続けます。

そのやりとりを三度ほど繰り返した後、少し静かになり、寝付かれる日もありました。

 

そうでない日は……

 

わたしが勤めていた老人ホームは、詰所から廊下が見渡せるようになっている構造でした。静か~にKさんのお部屋の引き戸が開き、コロコロコロ…と小さな車輪の音を立てながら、シルバーカーが姿を現します。

 

ちょこちょことシルバーカーを押して、Kさんが詰所に向かって歩いてくるのです。

 

「お腹が空いて眠れんの」

 

ぽつりと呟いて俯くKさんに、詰所の前のソファに座るように勧め、温かいお茶を提供してお喋りしていました。

 

時々なら本人持ちのお菓子を一つだけ食べて頂いても良いことになっていたので、空腹の訴えが止まないような日は一つだけ食べて貰ってお部屋にお送りしていました。

 

自立でもホームでの暮らしが必要

 

昼間のKさんを見ていると、もう少しお家で一人で暮らせたのではないかなと思うこともありました。

 

けれど、夜のKさんを見ると、やはりホームでの暮らしが必要なんだなと思いなおす。その繰り返しでした。

 

一人きりで、糖尿病の空腹感を耐えるのは難しいことです。

 

コールを鳴らせば聞いてくれる相手がいて、眠れなければ詰所に行って話す相手がいて、状態を見て必要があれば適切な量の食べ物を提供する相手がいる。

 

それは、一人暮らしでは見つけることが難しく、よしんば家族がいても毎日というわけにはいかないことではないでしょうか。

 

認知症も糖尿病も、進行し過ぎない間に、コントロールしやすいところで生活する。

 

大切なことだと思います。

 

Kさんはまる1年、元気にその状態をキープして生活されました。

 

最後はキーパーソンの妹さんが体調を崩されたため、一緒に療養生活を送るべく別の施設に行ってしまわれたのですが、最後出て行かれる時もシルバーカーを押して行かれました。

 

元気な背中を見送った、数少ない担当入居者でした。

 

 

老人ホームは姥捨て山?

 

最後に。

 

多くの方にとって「姥捨て山」のように思われがちな老人ホームですが、私はKさんにとってはそうでなかったことをお伝えしたいです。

 

Kさんにとって、老人ホームはお家でした。

 

夜中に詰所にやってきてお喋りすることを、いつからかKさんは楽しみにされていました。

 

「ずーっと寂しかってん。あんたらがおる今の方が嬉しい」

 

小さくにこっと笑ったKさんのお顔が、忘れられません。

 

戦争で得るべき家族を失って生きて来たKさんにとって、老人ホームは安心して暮らせる場所だったのだと、思うのです。

 

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