老人ホームでの夫婦間トラブル 後編

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老人ホームでの夫婦間トラブル 後編

介護・福祉


2017年12月18日

三角関係の修羅場発生?

主任の「ご夫婦の同時入居は難しいの」という言葉が、少しずつ現実のものとなってきました。

 

奥様の認知症が進み、ご主人の指示に対しても理解が難しくなってしまいました。そこで、ご主人の日常生活の介助を、職員が担うようになったのですが…。

入浴後の着替えを準備するために、お部屋に入ります。片麻痺のご主人はお部屋で寝ていることも多く、ご主人に声かけをして着替えを準備します。

「そろそろ上のポロシャツは長袖にしますか?」

「そうして下さい」

等の会話をしているところに、フロアや廊下をウロウロしていた奥様が部屋に戻って来ようものならさあ大変です。

「あんたら、何してるんや?!」

もうこうなったら、何を言っても駄目でした。

奥様の頭の中にある浮気現場を、消せようわけもなく……。

そうなったらもう、とりあえずその職員はその日は別のフロアへ避難です。そして奥様の浮気されたという訴えを別のスタッフが辛抱強く聞き、場面転換の機会を伺うより他にありませんでした。

数回のプチ修羅場の後、スタッフの話合いにて修羅場を引き起こさないように、Gさん夫婦の部屋にはできるだけ男性職員が入ることになりました。

そう書くと、とても簡単なことのように思えるかもしれませんね。

ですが、介護業界における男女比率は、圧倒的に男性が少ないのです。

なかなか大変な対応でした。

老人ホームでの夫婦間トラブル 後半01

二人一部屋の限界を迎える時

それでも、調子の良い時はご夫婦仲良くおやつを分け合ったり、微笑ましい時間もありました。

だんだんご主人の歩行も不安定になっていく中で、「そろそろお部屋を分けた方が良いのでは?」という声が、職員の中でもあがっていました。二人部屋で車いすを入れると、スペースが狭くなるのです。

その狭いスペースに奥様が入り込まれて転倒などがあっては危ないのではないか。……という話が上がっていました。

ですがご夫婦一緒のお部屋は、キーパーソンである子供さんたちの希望でもありました。もう少し様子を見て……という話になっていたのです。

 

その夜の奥様は比較的落ち着いていました。いつもは夕食後に落ち着きなくウロウロされることが多いのですが、昼間に入浴があり疲れていたのか早めに休まれました。

ご主人はいつも通りの時間に就寝されていました。

午前2時の巡回の時は、確かに二人とも眠っていたのです。

次の午前3時の巡回です。二人部屋の手前のベッドが奥様のものなのですが、もぬけの空です。

「あれ?Gさん?!」と思わず声を出した私に、隣のベッドから「助けてくれ」とご主人の声がしました。

その声を聞いてご主人のベッドの方に駆けつけると、そこにはご主人に馬乗りになっている奥様の姿が。

「この!役立たず!!」

そう叫んで怒っていたわけです。

当時まだ若かった私はすぐに状況を理解できず、とるも直さず先輩職員を呼びに行き、奥様をどうにか宥めて別のお部屋に移動して頂いたのですが……。

ある程度落ち着いてから、職員同士で「奥様がなにをあんなに怒っていたのか」という話になり、ようやく事の次第を理解しました。

認知症ですから、若かりし日に戻る夜だって、そりゃまあ当然あるわけです。

ですが、お相手が片麻痺のご主人ですから、怪我をする可能性も高く、当ホームとしてはやはり安全面を重視するより他になく……。

 

子供さん達には明確な理由はぼかしましたが、翌日から寝室は別のフロアをご用意させて頂きました。少しずつ距離を離していき、最終的にGさん夫婦は別のフロアでそれぞれ暮らして頂くことになったのです。

 

ご夫婦の同時入居の、素晴らしさと難しさ。

Gさん夫婦からは、その両方を教えて頂きました。


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しいな みのり
介護福祉士・ケアマネージャー。特別養護老人ホームや病院の介護病棟・医療病棟、小規模多機能型居宅介護事業所での勤務経験を持つ。現在も子育てをしながら介護の現場で奮闘中。
ウチシルベ