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意に沿わない老人ホーム入居

意に沿わない老人ホーム入居

介護・福祉


2018年04月09日

これまで比較的良い関係を築けてきた方との思い出をお話させて頂いてきたのですが、今回は思い切って少し悲しかったNさんとの思い出をお話させて頂きます。
15年ほど昔のお話です。

校長先生をしていた気難しい紳士

Nさんは最初、ショートステイを利用されていた方でした。
小学校の校長先生をしていたというNさんは、早くに奥様を亡くされたということで、キーパーソンは長男夫婦でした。
ショートステイされていたころのNさんは、気難しい雰囲気を醸し出し居室で本を読んでいるような方でした。スーツの上下をかっちりと着て、胸ポケットからハンカチが見え、夜寝る時以外はネクタイまでしめておられました。手荷物にはいわゆるシルクハットのような帽子がある紳士ぶりで、荷物チェックで驚いたことをよく覚えています。
意に沿わない老人ホーム入居01
ショートステイすることを受け入れられない様子で、「何故私がこんなところにいなければならないんだ」とはっきりと仰っていました。
自尊心の高い方にはよくあることですが、認知症状のある方や体の不自由な方と一緒に食堂でご飯を食べることすら拒否されていました。ショートステイなので、その方の生活スタイルに合わせるという名目で、お部屋に食事を運んで対応しました。
お風呂も皆と入るのを嫌がっておられて、なかなか入って頂けず苦労しました。それでもショートステイの時は「お風呂嫌いなので無理に入れなくて良い」という話だったので、無理強いすることもなく過ごせていたのですが……。

長引くショートステイ

2泊3日だったショートステイが4泊5日になり、10日になっていきました。
お家にお義父さんのいない数日は、子育てもしている長男夫婦にはありがたいものだったそうです。助かるからもう少しお願いしたい……ということで、相談員はショートステイの日数を増やしていきました。私達職員は勿論ですが、希望を受けていた相談員も、あまり良い傾向ではないと、分かっていたと思います。
最後には、「もう少し預かって欲しい」から「もう戻って来られても困る」に変わり、Nさんは「空きが出次第入居予定」の退居予定のないショートステイご利用者になったのです。

ショートステイ利用者から入居者へ

さあ大変です。
そうです……もう「ショートステイだから」では済まされません。
お風呂にも入って頂かなければいけませんし、認知症の方と一緒に食堂でお食事して頂かなければいけません。
だってNさんはもう「お客さんであるショートステイ利用者」ではなく「いずれ入居者になられる方」なのですから。
ですがそれはあくまで、私達職員の捉えかたです。Nさんにとってはなんら変わりない、不満いっぱいのショートステイ利用なのでした。
食事に関しては、介護主任が掛け合い食堂の端の決まった席で他の人とは相席にならないことを条件に、食堂で食べて頂けるようになりました。
部屋に籠もりきり、他者とお喋りしようとしない日々。
声掛けしてもレクレーションには参加されない。相談員と主任、そして男性職員以外とはほとんど会話もされない。
Nさんが「わしはいつ帰れるんや?」と一日に何度も詰所にやってきて尋ねるようになるまでに、時間はそうかかりませんでした。

そうです、認知症状が、出始めたのです。

 

次回「施設ぐらしも悪くない vol.12」に続きます。


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しいな みのり
介護福祉士・ケアマネージャー。特別養護老人ホームや病院の介護病棟・医療病棟、小規模多機能型居宅介護事業所での勤務経験を持つ。現在も子育てをしながら介護の現場で奮闘中。
ウチシルベ