中高年ドライバーのジレンマ。-在宅介護実録 沈んだ太陽 第二十三回 連載記事

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中高年ドライバーのジレンマ。-在宅介護実録 沈んだ太陽 第二十三回

介護・福祉

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2017年06月07日

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農村コミュニティでの介護生活。-在宅介護実録 沈んだ太陽 第二十二回

地方のマイカー事情。

こんにちは、ミチルです。今回は、田舎にありがちな「中高年ドライバーのジレンマ」についてお話します。

現在アラフィフの私ですが、少し前から「若いころのように車を運転することはできなくなった」と実感しています。夜間視力が落ちましたし、高速も怖くて乗らなくなりました。一般道でも、たまにヒヤッとすることがあり、助手席のルミコさん(姉)に「いま、怖かったね」と、冷ややかな声で言われたりすると、(もう、あと何年乗れるんだろう–)と、落ち込んでしまうこともあります。

とはいえ、私の住む埼玉農村部は、絶望的に交通機関が発達していません。ですから、たとえ年を取って車の運転がおぼつかなくなっても、嫌でもマイカーをころがさなければ死活問題に直結するのです。

中高年ドライバーのジレンマ。1

ニュースで高齢者ドライバーによる事故が報道されるたび、「80すぎまで運転するのが悪い」「なんで家族が免許を取り上げないんだ」と、強い口調のコメントを見かけることがあります。私も運転に自信のないドライバーは、事故を未然に防ぐ意味で、年齢に関係なく速やかに免許証を返納すべきだと思います。しかし同時に、僻地に住む高齢者ドライバーのジレンマを知る身としては「交通弱者切り捨て」のようで、やりきれない気持ちになるのも事実です。行政がもっと動いて、オンデマンドのミニバスを走らせるとか、タクシーの優待券を配布するとかしない限り、自主的な免許証返納は「美談」でしかないと感じます。

 

ポキさんの楽しみ。

さて、そんな『田園の憂鬱』を抱えつつ、我が家でも介護には車が必需品です。ポキさんを車に乗せるのは病院周りが主ですが、タダでは動かぬ彼女のために、医者に行った後には必ず、スーパーに寄ることがお約束になっています。ところが、自力では買い物に行けないポキさんは、ここぞとばかりに暴挙に出ます。レジカゴに山盛り、すぐに食べられる菓子や揚げ物を買い込もうとするのです。先日、アイスクリームを買ったときは、後部座席に乗り込むが早いが、包装紙を破るのさえもどかしいらしく、ポタポタとシートにこぼしながら食らいついていました。私が「せきこむから、まずは水を飲んで」とペットボトルを差し出しても受け取らず、ムシャムシャ。案の定、途中でむせて鼻から口から吐き出します。最後はベトベトに汚れたゴミをフロアマットに蹴散らして、スタコラサッサと降りてゆくポキさん。彼女にしてみれば、スーパーに行くことがメインで、病院はおまけでしかありません。そして、私はただの「移動手段」なのでしょう。

そういえば最近、ポキさんは車を降りた直後の“捨てゼリフ”を言わなくなりました。以前は、無事に帰宅したのを見届けた途端、「もっと食いもん、買いたかっただぁ。もう、行かねー!」と、がなり立てては一目散でした。その姿はまるで、漫画に出てくるいじめられっ子そのもの。いじめっ子が絶対に追いかけてこれない場所まで来ると、くるりと向き直り「テメー、今度会ったらぶっ殺してやる!」とすごんで、虚勢を張るあのシーンです。

今や、無料ドライバーに対して悪たれ口一つ吐けなくなったポキさん。おとなしくなってくれるのは、こちらに都合がよいのですが、その分、予測不能なトラブルに見舞われることもしばしば。この人は死ぬまで変化球を投げ続けるのだと、振り回されっぱなしの日々は続きます。

 
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介護者は多いほどいい?-在宅介護実録 沈んだ太陽 第二十四回

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ミチル
埼玉在住のアラフィフ。翻訳家、ライター。 30年ほど前、育ての母を介護するため大学を 中退した元祖ヤングケアラー。現在は、縁の なかった産みの母ポキさん(83歳)が認知症 となり、2度目の介護をスタート。 都心の外資系OL生活から一転、数十年ぶりに 閉鎖的な田舎に引き戻され、七転八倒の日々。 2016年、放送大学卒業。
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