白内障の手術は、認知症になる前に。-在宅介護実録 沈んだ太陽 第二十七回

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白内障の手術は、認知症になる前に。-在宅介護実録 沈んだ太陽 第二十七回

介護・福祉

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2017年08月02日

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白内障の手術はてんやわんや

こんにちは、ミチルです。今回は「白内障の手術は、認知症になる前に済ませろ」についてお話します。

第4回でもお話しましたが、ポキさんは79歳のとき、思いがけない目のケガから白内障が見つかり、急きょ、手術をした経験があります。ですが、認知症が発症してからだったため、手術はてんやわんやとなりました。

 

3年前の12月のことです。その眼科では毎週木曜日午後が白内障の手術に充てられ、数人の患者さんを一度に片づけていました。

手術当日、母の順番は最後から2番目でしたが、すでに嫌ぁ~な予感がします。できれば、ドンジリにしてほしかったのですが、医者の都合もあるだろうからと黙っていました。ですが、それが痛恨の極みとなりました。

通常なら30分くらいで終わる手術ですが、なぜかナースが手術室を慌ただしく出たり入ったりしながら、時間だけが過ぎていきます。そのうち、1人のナースが歩み寄り「お母様ですが、手術中ずっと顔を左右に振ってしまわれるんですね。緊張してらっしゃるみたいで」と困り顔。しかも、ポキさんは恐怖心から血圧が200近くまで上がってしまったらしいのです。実は当時、ポキさんは高血圧にもかかわらず、薬を飲んでいませんでした。そのため、眼科医が白内障手術をするため、高血圧の薬を処方するという異常事態になっていたのでした。

ナースは逐次、途中経過を伝えに来るのですが、それを見ていた母の次、つまり、その日最後のオペ患者(60代女性)は、私に険しい表情を向け始めたのでした。がらんとした待合室には、私と彼女と彼女の夫だけ。緊迫した空気の中、つけっぱなしのTVからはワイドショーのバカ笑いがむなしく流れ――生きた心地がしません。

 

初島の恨み、恐るべし!

やがて、どうにかこうにか母の手術は終わったのですが、なんと時間の関係で、その日最後の手術はキャンセルになってしまったのです。さらに、手術の日程が合わず、年明けまで延期ということに。

あのねー、アンタの、アンタのおばあちゃんのせいでね、今日手術できなくなったじゃないの!年越さないとできないっていうじゃない。どうしてくれんのよ、正月!」突然、オペ患者がまくし立てました。緊張の糸がプツンと切れてしまったのでしょう。それまで憮然と座っていたご亭主も「うちはね、正月は家族で初島行く予定なんだよ、初島!」と激怒。お二人の気持ちは痛いほどわかるので、ひたすら平謝りです。

おそらく、手術のために“まな板の鯉”と覚悟をして家を出てきたのに、ワガママな他人のせいで手術がドタキャン、来年までおあずけとなれば、怒り心頭も無理はありません。ご亭主はよほど腹に据えかねたのか、行きがけの駄賃に私の座っていたソファに後ろからケリを一発!あまりの恐怖に心臓が止まりかけました。

 

子の心、親知らず。

その後、眼科からの注意事項が理解できないポキさんは、手術したばかりの目をゴシゴシこすってしまったのです。人間用のエリザベスカラーでもあれば良かったのですが、万事休す。結局、1カ月もしないで再び白内障(後発白内障)を発症。80近い認知症患者の手術を引き受けてくれた医者も、これにはサジを投げた様子。なんのために高い費用をかけて手術したのかと、私もヘロヘロになってしまいました。

 

眼球にメスを入れるなんて想像しただけでゾッとしますが、「白内障の手術は絶対、ボケる前に済ませておけ」と、骨の髄まで身に沁みた事件でした。
 
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ミチル
埼玉在住のアラフィフ。翻訳家、ライター。 30年ほど前、育ての母を介護するため大学を 中退した元祖ヤングケアラー。現在は、縁の なかった産みの母ポキさん(83歳)が認知症 となり、2度目の介護をスタート。 都心の外資系OL生活から一転、数十年ぶりに 閉鎖的な田舎に引き戻され、七転八倒の日々。 2016年、放送大学卒業。
ウチシルベ