早まるな!墓じまい 中編-在宅介護実録 沈んだ太陽 第三十五回

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早まるな!墓じまい 中編-在宅介護実録 沈んだ太陽 第三十五回

介護・福祉


2017年11月22日

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早まるな!墓じまい 前編-在宅介護実録 沈んだ太陽 第三十四回
こんにちは、ミチルです。前回に引き続き「早まるな!墓じまい」の中編をお送りします。

 

熟年世代を対象としたフリーペーパー「P」に「墓じまい、見積無料」という広告を見つけました。某有名墓石会社Xです。早速電話してみると、翌日下見に来てくれることに。菩提寺の駐車場で待ち合わせ、ざっくり状況説明をしました。

 

「そういうご家庭増えてるんですよ」

営業のTさんは物腰柔らかく、親身になって話を聞いてくれる男性でした。ですが、いざ墓所へ案内という段になって「ご住職にも一声掛けておきましょう。個人の敷地に入るわけですから」と提案してきたのです。

生臭坊主との歓迎せざる対面

戦慄が走りました!なぜなら、この寺の住職は、かなり生臭いのです。地元だけで評判が悪いのかと思いきや、別の地区の方からも同様の言葉を耳にするくらいですから筋金入りの生臭坊主と言っていいでしょう。

私自身、20年前の祖母の葬式で、この住職に呼び止められたかと思うと、いきなり携帯で写真を撮られたことがありました。呆然としている私に「名前は?携帯番号は?」と、せっつく坊主。パソコンに遺族の画像を取り込み、一覧表にして檀家のデータを管理しているというのです。

「法事のスケジュール管理にはアラームをセットしてるんだ」と、いかに自分がITに精通してるかをドヤ顔で説明。その後、お布施の金額について電話でクレームされたのを記憶しています。

そんな奇っ怪な坊主ですので何を言われるかわかったもんじゃないと、すでに生きた心地がしませんでした。そして、出てきた住職は仏頂面で「本堂を開けるから、そっちで待ってなさい」と指図したのでした。

(墓石見積もるだけなのに……何?)

嫌な予感は的中するものです。

 

本堂のガラス戸が開くやいなや「X(呼び捨て)。アタシはアンタんとこが嫌いなんだよ!ロクでもない仕事しかしないだろう」と、まさかの罵声。

(え?それって、神仏に仕える人のいう言葉?)

私が混乱する中、Tさんは硬い表情のまま「申し訳ありません」と深々頭を下げたのです。それを潮に住職は、かつてX社が寺の墓所内で請け負った工事についての叱責をはじめました。最後はお決まりの人格否定です。突然、目の前で繰り広げられる暴挙に言葉を失う私。ですが、Tさんはひたすら謝り続けています。

(こんなの、絶対、間違っている!)

私は強い憤りを感じ、思わず住職を睨みつけたのでした。

20年越しでたどり着いた真実

すると、坊主は私の視線に向き直り、鋭い口調で言い放ちではありませんか。

「アンタのお母さんもね、オカシイよ。20年前、婆ちゃん死んだ後、勝手に墓石屋呼んで、勝手に墓石作って。あんなどうしょーもない墓作って。墓には向きとかちゃんとあんだよ。うちに相談すれば、もっと安く上がったのに。お母さんに何言っても、ぜんぜん聞く耳もたなくて。アンタんとこのせいで、墓の周り、全員が迷惑してんだ!」

 

まったく、寝耳に水でした。が、同時に何かがストンと腑に落ちました。私たち家族が“墓石ビジネス詐欺”に遭ったと気づいた瞬間でした。実に巧妙なやり口で、しかも20年も前に――!

最終編へ続きます。

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早まるな!墓じまい 後編-在宅介護実録 沈んだ太陽 第三十六回


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ミチル
埼玉在住のアラフィフ。翻訳家、ライター。 30年ほど前、育ての母を介護するため大学を 中退した元祖ヤングケアラー。現在は、縁の なかった産みの母ポキさん(83歳)が認知症 となり、2度目の介護をスタート。 都心の外資系OL生活から一転、数十年ぶりに 閉鎖的な田舎に引き戻され、七転八倒の日々。 2016年、放送大学卒業。
ウチシルベ