早まるな!墓じまい 後編-在宅介護実録 沈んだ太陽 第三十六回

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早まるな!墓じまい 後編-在宅介護実録 沈んだ太陽 第三十六回

介護・福祉


2017年12月06日

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早まるな!墓じまい 中編-在宅介護実録 沈んだ太陽 第三十五回
こんにちは、ミチルです。今回が「早まるな!墓じまい」の最終編です。

20年越しの真実

実は20年前、我が家では祖母の一周忌のあと墓の改修をしたのです。

当時、私は仕事で忙しく、実家とは疎遠でした。あるとき「そういえば、おばあちゃんの遺産ってどうなった?」と、ポキさんに尋ねたことがあったのですが、「住職に『オマエんとこの墓は崩れそうだから早く直せ』と怒鳴られた」と、ヒステリックに言い返されたため、それ以上の詮索をする気が失せたのを憶えています。正直、たとえ疎遠であるとはいえ、身内の私に一言の断りもなく350万円という大金を一気に使ってしまったことに違和感を覚えたのですが、結局うやむやになってしまいました。

 

しかし、今回の住職の言葉から墓の改修を指示したのは、彼ではなく第三者であることが判明したわけです。その人物こそ、今は行方知れずとなったZさんでした。彼女はお金の匂いに敏感で、バブル当時、最初は証券、次に保険の勧誘員として我が家に入り込み、その後は牧場への出資やらネズミ講まがいの話を母と姉にそそのかす胡散臭い輩でした。彼女は、2人を営業車に乗せては病院やスーパーに連れて行ってくれたり、不用品をくれたりする“面倒見のいいオバちゃん”というキャラを演じていたようです。

 

「Zさんって本当にいい人!」

世間知らずのルミコさんは彼女を盲信していましたが、私は冷ややかでした。私がZさんに不審な点を問い正せば、ノラリクラリとかわし、「妹さんはキツイね。東京で働いてるから人を信用できないんだね」と、まるで洗脳するかのような言葉を姉に吹き込んでいたのでした。

そんな彼女が辿り着いたのが“墓ビジネス”だったのです。祖母の葬儀で、無能な喪主であるポキさんに代わって式を切り盛りし、友達のいないルミコさんのために友達ヅラして振る舞い、母娘に恩を売りつける--結果、一年後には350万円の売上を達成!となったわけです。

真実を知ったショックと冷酷な現実

「ありゃ、笑っちゃうくらいボラレたで」ないがしろにされた恨みからか、住職は下品なくらいケタケタ笑い出しました。その姿を見てムダとは思いましたが、ポキさんの発達障がいによる判断能力の欠如が原因だったと説明を試みたのです。が、

「お母さん、まだ50代だったんだよ。まだ、ボケちゃいねーだろ。ちゃんと会社勤めしてただーろが。今更なんでそんなデタラメ言うんだ」と、さらに火に油。しまいには「出て行け。出ていくんなら離檀料払えぇ~!!」で、ガラス戸をピシャリ。

 

「坊主なんて、みんなあんなですよ」

先ほどとは打って変わって、冷淡なTさん。とにかく、せっかくここまで来たのだから見積りだけはしてもらうことに。

「まず、お父様ですが昭和40年代に土葬ですよね。土の中で骨が流れてると思いますから、それをさらう作業もあるし、見つからないこともありますが。それと古いお墓は1体20万円として、あと墓石全部壊して、離檀料も入れると……ざっと500万くらいでしょうか」

彼の抑揚のない口調から「この仕事は引き受けたくない」というメッセージが伝わってきました。

350万で作った墓を500万で壊す――今の日本は、タダじゃ死ねない、死んでも大金がかかるのです。

後は野となれ山となれ!

極度のプレシャーに押しつぶされそうになっていたところ、ケアマネの言葉に救われました。

「一番いいのはミチルさん姉妹が死ぬまで、そのままにしておくことじゃないかな。ほっとけばいいのよ。無理にお金かけて閉じようとしないで。あなたたち死んじゃったら、後は野となれ山となれよ!それに、その住職だって先に逝くんだろうし、後任は今よりマシかもしれないでしょ」

ということで、現在は様子見としています。

 

「終活」にまつわるトラブルが後を絶ちません。“墓じまい”という流行り言葉に躍らされることのない冷静沈着がなにより肝要と思い知った出来事でした。


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ミチル
埼玉在住のアラフィフ。翻訳家、ライター。 30年ほど前、育ての母を介護するため大学を 中退した元祖ヤングケアラー。現在は、縁の なかった産みの母ポキさん(83歳)が認知症 となり、2度目の介護をスタート。 都心の外資系OL生活から一転、数十年ぶりに 閉鎖的な田舎に引き戻され、七転八倒の日々。 2016年、放送大学卒業。
ウチシルベ