東大阪にお住まいのAさん。足腰が弱って車いす生活になっても独り暮らしを続けておられるお父様のことを心配され、家から通いやすいところで良い施設がないかとご相談を受けました。
実は、Aさん、お身内、お知り合いに医療関係者が多くおられるのと、なんでも自分で調べないと気が済まない性質（たち）のため、ご相談頂く数か月前から情報収集もバッチリで、ご自分で資料請求や施設見学も精力的にされていたのですが、情報が集まっても決めることができずにモヤモヤが溜まる一方という何ともおつらい状態でした。
そのため、最初にお話しさせて頂いた時には施設は探したいけれど、もう資料をみたり施設見学もあまりしたくないとお疲れのご様子。それではとご提案をする前に、まずお父様の状態やAさんの気持ちをあらためてお聞きして落ち着いた気持ちになって頂こうとゆっくりお話をすることからさせて頂きました。
はじめのうちは何から話したら良いのか混乱されていたご様子でしたが、「お父様が楽しそうにされているイメージができるところはどんなところだと思いますか？」とお尋ねしたところ、はっとしたお顔をされて「父は寡黙な人なのだけど、音楽を聴いたり人が楽しそうに集まっているところにいるのが大好きなんです。だから、あまり大きな施設ではなくアットホームな雰囲気だったら喜んでくれそう。」と、すらすらと答えていただくことができました。
そのお話をお聴きしている時、私の中ですぐに浮かんだところは２箇所。ひとつは、介護付有料老人ホーム、もうひとつは住宅型有料老人ホームです。
両方ともAさんのご自宅から近く、アットホームな雰囲気があり、そのうちのひとつは食堂にピアノが置いてあり演奏会が行われたりしていて人が集まる自然な環境づくりもされているところです。
それからすぐ、Aさんのご都合に合わせ２施設とも見学案内をさせていただき、お父様ともお会いして施設の説明をさせて頂きました。 ２施設とも良かったAさんは、また迷われていましたが最終的には「父が音楽に合わせて笑っているイメージができた。」ということで、ピアノの置いてある住宅型有料老人ホームに決められました。
「あんなにたくさん探したけれど、この施設があるのは全く知らなかったわー。教えてくれて本当に助かりました。」と喜んで頂けたことはお住まい相談員として何よりうれしいことでした。
良い施設を探してあげたいという気持ちはいつしかAさんの中で義務感、重い責任感に変わってしまっていたようでしたが、設備面で選べないということであれば、入居されるご本人が楽しく過ごしているというイメージを持てるところかどうかを考えてみるということはとても大切だと今回感じました。
Aさんのお父様、今はすっかり落ち着いて過ごされているとのことです。
