日常生活の中に軽い運動を取り入れることによって、からだは丈夫になり、転倒予防に効果的な足・腰・腹部の筋力アップやバランス能力、歩行能力が改善されます。
それによって、日常生活の活動範囲が広がり、生活機能も高まります。
健康・体力づくりの運動といっても、激しいスポーツをする必要はありません。年齢や体力水準、健康状態などに応じて無理のない日常的な運動を続けることが大事となります。
また転倒予防のための運動というと、真っ先に筋力トレーニングを思い浮かべることが多いかもしれませんが、筋力の維持も必要ですが、筋力を動かす命令を下すのは脳です。
目・耳・皮膚・などの受けた情報をもとに、脳が瞬時に判断してどのような対処をするのか決定し、関連の筋肉に命令を下します。よって、その速さと正確さこそが重要とも言えます。これらのバランス能力こそが重要で、高齢者にとっても転倒防止に役立ちます。
また転倒のきっかけは内的要因と外的要因に分けられます。それらを理解した上で、安全で快適な生活をお送り頂きたいと思います。
- 転倒の原因(内的要因)
視覚、神経系、筋骨格系、心血管系が正常でそれらをきちんと働かす事が出来るかによって、直立の安全な歩行が可能です。高齢になるにつれ、これらの機能はだんだんと衰え、歩行やバランスにも影響を及ぼし、その為、転倒の危険性が高くなります。
- 視覚の変化
高齢になると目の明るさの変動への順応性がしだいに落ちていきます。また眩しい光に対して敏感で床からの反射光などは大変危険です。身体のバランスを保つには視覚からの情報が非常に大切で、それらの情報が減少するとバランスを保つことが難しくなります。 - 筋力バランスの変化
中枢神経や筋骨格系の働きも衰え、バランスを維持するのが困難になってきます。その他、筋の委縮やバランスの低下による前傾姿勢など様々な減少が起こります。それによって姿勢のゆれが大きくなります。 - 歩行の変化
歩幅が狭くなったり、歩く踏み出しの足の上げ幅が小さくなったり、地面の凹凸の認識が難しくなったりして、足をとられて転倒につながるなどの可能性が高まります。 - 心血管系の変化
年齢とともにしだいに血圧の調節や血圧を一定に保つ働きが損なわれます。そのため急な姿勢変化の時に一過性の低血圧状態となりやすくなります。また脱水・失血や薬物の副作用があるとよりいっそう低血圧状態となります。脳への十分な血流を維持できず、脳虚血となりふらついて転倒しやすくなるのです。 - 転倒の要因(外的要因)
不慣れな場所、不適切な明るさ(眩しすぎる、照明不足)などの外的環境や不適切な履物(スリッパ等)など原因は様々あります。
畳と絨毯のつなぎ目や動線に物が置いてあるだけでも、転倒リスクは高まります。
ご高齢者にとって、つまずいて転ぶというのは非常にショックの大きいことですし、それがきっかけで骨折、寝たきりになる可能性も否めません。
日常生活をより「快適に楽しく過ごす」為にも転倒防止になる身体作りと環境作りは非常に大切になってきます。
楽しく適度な運動と転倒リスクの少ない環境作りで楽しい毎日をお送り下さいね。