認知症の症状も段階によって様々です。初期症状からさらに進んで、徘徊(はいかい)やせん妄(せんもう)が頻繁に見られるようになると、家庭での介護は困難になります。
以前にもご紹介させて頂いたのですが、早めの治療で限りなく進行を抑えられる場合もありますので、早めに掛かりつけの医師にご相談をしましょう。
そして認知症と診断されても、ご家族が冷静に温かく受け入れることが症状緩和にも大切です。ご家族の動揺がかえって、認知症を悪化させる恐れがありますので注意しましょう。
●認知症の進み方
◎初期(発症2~3年)
・物忘れが激しくなる
・置き忘れなどの失敗が増える
・新しいことが覚えられなくなる
・おつりを忘れるなど、お金の管理が苦手になる
・イライラしたり、ふさぎこむこと等、感情的に不安定になる
・老人性のうつ病と似た症状になる
・年月日、曜日や時間の間隔が不確実になる
◎中期(発症後4年目以降~)
・記憶障害が進み、日常生活に支障が出る
・季節や天候に合った服が選べない
・1人で買い物が出来ない
・慣れた場所でも道に迷うことがある
・言葉の言い間違いが増えたり、他人の言うことが理解できなかったりする
・自分の思うように動作が出来ない
・自分の見ているものが何か分からなくなる
・料理など順序立てて行動することが出来なくなる。
・認知機能の衰えと精神的な不安から、問題行動がみられるようになる。(徘徊、妄想、暴言、錯覚、幻覚、異食、睡眠障害など)
・ことばのつじつまが合わない
◎末期(発症後8年以降~)
・会話が成り立たない
・食事、排泄など生活全般において全面的な介助が必要となる
・運動機能が低下し、寝たきり状態になる
※進行の状況は個人差があります。若年性認知症の場合はさらに急速に進行するといわれています。
●認知症のご高齢者と接する上で大切なこと
①認知症と診断されても慌てず、あくまで冷静に受け止める
②医師等の専門家から認知症についての知識を得る
③趣味や運動などを日常的に行い、活発な生活を心掛ける
④住み替えなど環境を変える時は慎重に行う
⑤低栄養に気を付けて、同時に脱水症や便秘にならないようにする