年末にうれしい便りが届きました。
12月に住宅型有料老人ホームに入居された方のご様子です。
老人ホーム入居断固拒否の方でした・・。
83歳女性、要介護1で認知症の診断もされているけど、ある程度自由なところをご家族は希望されていました。
キーパーソンは長女さん。
お母様は長女さんには日々感情をぶつけてきつい言葉で当たっておられるようでした。
(ご家族に強い感情をぶつけられる方は珍しくありません)
多くのご家族が老人ホーム見学は、2、3施設、あるいは条件をしぼって1件だけということもありますが、
ご家族は5件施設見学を希望されました。
「サービス付き高齢者向け住宅」「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」
この中からお選びになったのは「住宅型有料老人ホーム」でした。
「自由度が高いことも重要だと思いますが、入居されるお母様やご家族に寄り添ってくれる施設がいいのではないでしょうか」
私のこの一言が、決め手だったとご家族はおっしゃいました。
今回ご入居された住宅型有料老人ホームの施設長が親身になって話を聞いてくださり、その人柄にキーパーソンの長女さんが安心されたようでした。
5施設見学後の帰り道の車内でこちらの施設に決められました。
老人ホーム選びも大変でしたが、ここからも大変です。
入居されるお母様との見学です。どのようにお連れするかを長女さんはいろいろと頭を悩ませていました。
なんとか見学にご案内できたものの、行きは楽しそうに私にいろいろと話をしてくださっていたものの、帰りの車内では不機嫌でした。
見学の際には私と二人になった際は、お母様は私にご家族の不満をとつとつと語っておられました。
ここまでも想定していました。
入居の時も大変だろうと私が入居の際も同行して、キーパーソンの長女さんではなく長男さんが引越しや入居手続きを行いました。
老人ホームへ向かう車内の空気も険悪です・・。
しかしこれも想定していたことです。
老人ホームへ着き、引越しの段取りをしている間お母様と話をしていましたが、ご家族の不満をまたとつとつと話をされていました。
前日の夜も当日の朝も長男さんと言い争いをしたようでした。
しかし引越しも落ち着いたようでしたので、私は失礼しました。
そしてその数時間後―。
長女さんから電話がありました。
「老人ホームが受入れてくれないかもしれないから桑野さんからもどうにか言ってほしい―」
「あの施設長がそんなこと言うわけはない―」と急いで施設へ向かいました。
施設長に話を伺うと実際にはそのようなことはおっしゃっていなかったようです。
長女さんの勘違いでした。
ただ、担当者会議の際にお母様が無理やりここに連れてこられたと主張された為、
担当者会議は延期になったとのことでした・・、そして長男さんも怒って帰られたとのこと―。
長女さんがパニックになるのも理解できました。
長女さんに事情を説明して落ち着いていただきました。
お母様は長女さんに対して感情を荒げてしますので少し距離を置きましょう、
との話を施設長がしてくださいました。
必要な買い物などは長女さんが用意して、事務所へ預ける―。
そういう日々が続きました。
そしてある日―。
「今は落ち着いて生活をされていますよ。食事の時にお話上手な方の隣にご案内したらお話されて、
それから少しずつ慣れていったようです。不満もおっしゃっていませんよ」と、
施設長に話を聞き、ほっと安心しました。
先日私が他の方の施設入居の際に施設に伺ったとき、そのお母様が他のご入居者さんと
寄り添って歩いているのをお見かけしました。
〔私が声をかけることでご家族に対する感情を思い出してしまうかもしれませんし、
認知症の方は私のことを忘れている方のほうが多いので(とても悲しいですが・・。)
認知症の方には声をかけないようにしています。〕
一人暮らしの際は、
・一人でずっと家にいて(デイサービスは拒否)ヘルパーさんにご家族の不満を言うことが多かった
・朝食はとらなかった
このような状況だったようですが施設入居後は、
・デイサービスに行くようになった
(早起きが苦手だったので、8時台にお迎えにくるのが嫌だったそうです)
・デイサービスで他の利用者さんとコミュニケーションをとるようになった
(ここはデイサービスが併設されているので気軽に行けるようです)
・朝食を食べるようになった
(生活にリズムができて、早く起きられるようになったようです)
このようなうれしい変化を伺うことができてとってもうれしかったです。
老人ホーム入居を拒否される方のすべての方が良い方向に進むとは限りませんが、
根気よく話続けていくのも大切だと思います。