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老人ホーム入居の際に医師からの紹介状をもらえない場合

曽根 るみ

自身も高齢の母親の介護をしながら、福岡本部にてお住まい相談員業務を高齢者家族の思いに寄り添い専門性の高い施設提案を行う。 全国の自治体・社協の講演・病院やケアマネ向けの勉強会等講師としても活躍中。

福岡市博多区に一人暮らしの81歳男性要介護1の方からのご相談をケアマネージャーさんよりお電話いただいたので、福岡市博多区にある住宅型有料老人ホームへ見学と食事の予約をし向かいました。

この男性の場合、生活保護で身寄り無しのため、博多区の保護課のケースワーカーに相談しながら、現状の独居生活は困難と判断しての施設入所の予定となりました。

ご自宅はアパート3階建ての3階で階段しかなく、認知による徘徊がありご近所や大家さんからの苦情が頻繁あり、退去の話が2年ほど前から出ていました。

自宅内は玄関先に使用済みのリハビリパンツがゴミ袋にきちんと入らず、散乱して悪臭を放っていました。

また1DKの台所にも寝室にも足の踏み場がないほどの荷物があり、8月の暑さもあって、部屋はサウナのような状態でした。

食事はスーパーのお惣菜をヘルパーさんに買ってきてもらい、台所で立って食べている様子。お風呂は浴槽が深いためお湯を浴びるだけの状態。

その上、自分で立っていることが出来ないほど足が弱っており、とても徘徊するとは思えないほどの歩行状態でした。

施設につくとすぐに車いすを借りて施設見学を行い、予約しておいた昼食をいただきました。

今日の昼食はナスの煮びたしすり身と野菜の団子・そうめん入りお吸い物・魚と野菜のあおさ衣の天ぷら、生野菜添え、ぽんず仕立て。すごくおいしくて、感激でした。

老人ホーム入居の際に医師からの紹介状をもらえない場合1

ご本人も他の方と食事をすることが数十年ぶりのご様子で、ケアマネージャーと私の分もご用意いただけたため一緒に食事をさせて頂き、とてもうれしそうに完食されました。「一緒にご飯を食べるとおいしいですねー」と、声をかけると、「はい。はい。」とゆっくりと笑顔でお話下さり、本当にうれしそうでした。

今まで自宅では、お吸い物やおみそ汁などの汁物を口にすることはなく、ただお腹を満たすための食事であったため、栄養状態も悪く、水分摂取も足りず、褥瘡も出来始めている様子でした。

ご本人もこの施設の方の温かいお迎えに安心されたご様子で「よろしくお願いします。」とたどたどしい口調で一生懸命意志を伝えていました。

すぐに受け入れましょうと施設の方に快諾いただけたため、早速現在の主治医にケアマネージャーから診療情報提供書(主治医紹介状)を有料老人ホームの訪問医師宛てに作成して頂けるようにお願いしたところ、「まだ、アパートで生活できるのに勝手なことをしてもらっては困る。」と、怒りだして紹介状を書いていただけないとのことでした。

老人ホーム入居の際に医師からの紹介状をもらえない場合3

しかし、現在要介護1の方ではありますが、要介護3ぐらいの方と同等のお体の状態であり、すでに生活困難による栄養不良で一日も早い転居が必要なレベルであることは間違いないのです。

今回は、施設の訪問医師に相談して、紹介状がないままでも検査をしていただき、今までの病歴とお薬の処方などをすべて提出して今後の受診をお願いすることになりました。

老人ホームに入所するためには、病気やお体の状態を施設の方や訪問医師へきちんとお伝えしなければ、万全の入居が出来ないため必ず診療情報提供書(主治医紹介状)が必要となります。

このようなケースは、今後もいろいろとあるかと思いますが、どうすることが本人にとって最善であるのかを、常にサポートする周りの方と話し合い提案することが大切だと今回も感じました。

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