昨年8月に要介護1認定を受けたAさん70代女性。
ご主人の介護を長年続けていましたが、Aさん自身も認知症の診断を受けました。
ご主人も認知症の診断を受けており、認知症の方の介護は大変でAさんも介護疲れのストレスからご主人に暴力をふるうようになり、
公的機関の指導により半強制的に夫婦別々に暮らすことになりました。
本当はご主人が大好きなAさん。
ご主人は自宅近くのグループホームに入所しましたが、Aさんは納得しておらず入所も大変な経緯がありました。
ご主人の入所から少しずつAさんの認知症状進行が進んでいくのが目に見えて分かり、ご主人の入所から一か月後にはご自身の服薬管理ができなくなってしまいました。
地域包括の方から連絡があり、Aさんの近所に住む長女さんからAさんの施設入居の相談を受けました。
介護サービスなどを一切拒否しているAさん。家族が介護について相談できるケアマネージャーもついていません。
Aさんは認知症の診断がでているものの、ほぼ自立で生活ができていることや認知症状が落ち着いていることもあり在宅願望が強く。施設入居は拒否されていました。
ただ、認知症状がでているときのAさんは近所の人に通帳を見せてまわることもあり、犯罪に巻き込まれる可能性も考えられ早急に対策が必要でした。
認知症の受入施設は数多くありますが、Aさんのようにほぼ自立で施設入居を強く拒否される方はなかなか受入れ施設が見つかりません。
ご主人と同じグループホームにも、「Aさんはまだお元気だからね」とやんわりと入居を拒否されました。
私が入居をお勧めした老人ホームは、精神科の先生が運営されている住宅型有料老人ホーム。
ここは薬に頼らず、スタッフの方の対応によって認知症状を落ち着かせるようにされています。
長女さんはここを気に入ってくださいましたが、長男さんが「もっと近くてもっときれいな施設があるはず」と言って納得してくれません。
Aさんの症状を考えると他の施設での受入れは難しいですし、実際に老人ホームに相談してもやんわりと断られました。
なんとか長男さんを説得して体験入居の段取りができましたが「まだしっかりしている時もあるし、施設に入居しなくてもいい」と再度長男さんの気持ちが変わりました。
長女さんはもちろん長男さんご自身も長男さんご家族もAさんに振り回されていましたが、心のどこかで「お母さんはまだ大丈夫」とAさんの老いを認めたくない様子でした。
ご家族が、お父さん、お母さんの老いを認められない、認めたくないケースはよくみられます。家族間でも気持ちが揺れます。
本当に施設入居の時期なのか、と。
実際、あんなに振り回されていた長女さんでさえ「やっぱりやめよう」という気持ちに何度も揺れ動いていました。
涙を流す長女さんを励ましつつ、入居に向けて進めていき、相談から二か月後には施設入居ができました。
今でも帰宅願望は強いようですが、3食しっかりと栄養のバランスよく食べることによって血液検査の結果もよくなりました。
認知症状は人によってそれぞれです。
グループホームが合う方もいれば、住宅型有料老人ホームが合う方もいる。
その方の症状を伺い、ベストな施設を提案する。
それがお住まい相談員の仕事です。