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高齢者の脱水

曽根 るみ

自身も高齢の母親の介護をしながら、福岡本部にてお住まい相談員業務を高齢者家族の思いに寄り添い専門性の高い施設提案を行う。 全国の自治体・社協の講演・病院やケアマネ向けの勉強会等講師としても活躍中。

これからの季節は水分補給が大切になります。特に高齢者の場合、体の50%ぐらいしか水分が確保されていないため、1日の水分量の確保は重要です。

1日2500mlが摂取量と言われており、食事から1000ml、飲み物から1200ml、体内代謝で創られる300mlの確保が必要です。

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また、1日で2500mlが体内で使われて、尿1500ml、便100ml、呼吸や汗で900mlも排泄されます。

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特に高齢になると水分を蓄えるための筋肉が減少してくることや、水分調節において重要な腎臓の機能が低下してくるため、老廃物を排出するための尿量が多くなる体の感覚が鈍くなり、のどの渇きも感じにくくなるなど水分が必要でも、本人が気づかないことが多く、周囲が気にかけて水分補給を進めて行くことが大切です。

また、実際の摂取量を決めるときには、下痢や嘔吐、発熱による発汗、運動量の増加に伴う通常以上の発汗などの要因を考慮に入れなければなりません。

脱水状態になると、元気がなくなり、発熱し、皮膚が乾燥します。発汗量が減り、尿の排出量も少なくなります。血液量と血圧を維持するために水分が細胞内から血流へ移動しますので、体の組織や細胞の水分が減少して機能が低下します。

通常、水分が体重の10%喪失しますと循環不全、15%の喪失で意識障害を来します。重度の脱水では、脳の神経細胞が特に影響を受けやすく、ときに昏睡状態となります。脱水状態に陥ると一気に体力が低下し、場合によっては生命を脅かすこともあります。

高齢者は多病ですので、病気が障害となって十分な水分補給が出来ないことがあります。失禁などの排泄面が心配で水分補給を控える高齢者もいます。このような時には、排泄面での精神的ケアをすることで、水分補給をさせることが重要です。

嚥下障害のある場合は、水分が気管に入ってしまい、誤嚥するとむせてしまい苦しいので、水分補給を嫌がり脱水症状になってしまうこともあります。また、腎臓病・心臓病などで水分を制限されている場合は、病状に合った適切な水分補給をしなければなりません。

いずれにしても、病気が障害となって水分補給に問題のある場合には、それぞれの病気の専門医に相談して、脱水とならぬよう対策を講じなければなりません。

以前ご相談頂いた方の場合、認知症状が数日で急激に進みご家族ではどうすることもできないため、施設を探したいとのご相談でしたが、完全な脱水状態がお電話で聞くだけでも感じられました。

熱が37度ほど続き、食事拒否と水分もあまり取れていない状態で、せん妄状態であったため救急搬送してもらい入院されて1か月ほどで落ち着きました。その後は、退院と同時にクリニックが運営する住宅型有料老人ホームにご入所されましたが、入所当日から落ち着かれており、ずっと前から住んでいるかのようでした。

1日の必要水分量を取っているかどうかは、家族と共に暮らしていてもなかなか気づかないため、分かりやすいようにテーブルに水筒やポットなどに入れて、一日の必要量を朝準備するとよいでしょう。

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