同居して二か月が過ぎたころ、母の兄妹、祖母にしたら子どもたちが遊びに来ました。
その時の祖母の様子は、しっかりしていたそうです。
食事の前に祖母がみんなの前で言いました。
「私がこうして生活できているのは○○さん(父の名前)のおかげやから。
2人とも、きちんとお礼を言いなさい」
とてもしっかりとはっきりした口調だったそうです。
認知症とは思えないほど—。
それから食事をしたり、みんなで歌ったりとても楽しいひと時だったとのこと。
そして祖母がトイレに立とうとした瞬間、
「私はこの人たちにいじめられようるけんね」
そう母の妹に告げて、トイレへ行きました。部屋にいた一同で大爆笑したそうです。
さっきはあんなにはっきりとお礼を言ったのに、こんなこと言うなんて。
母はこの時のことを「すっきりした」と言っていました。
「このときはね、脳にスイッチが入ったみたいにこういうふうに言ったとよ。
お母さんがいくら兄妹におばあちゃんの様子言っても実際にはわからんやん。
でも兄妹もおばあちゃんの認知症の症状を分かってくれたやろう」と。
叔母からもこの時の話を聞きましたが、叔母はその時に母の苦労が分かったそうです。
それから数カ月後ー
つづく